喉頭の動きまとめ

実際に歌う時の動作

大体こんな感じだというように感覚が落ち着きました,赤は外喉頭筋で青が内喉頭

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骨とか筋肉とかの名称はfunatoya.com とかfunatoya.com を見るとわかると思いますね

ボイトレ記事にありがちな内容に関する議論

1.「高い声を出すために甲状軟骨を下げる」のは正しいか?

5割ほど正しいと思います,甲状軟骨自体は変なこと(後述)をしないと下がらないです,嚥下時に作用する筋肉を意図的に使うことはまず難しいです
もし輪状甲状筋がうまく作用しているような場合は,「甲状軟骨が前回転」する状況よりも,「輪状軟骨が後回転」する状況の方が起こりやすいっぽいです

私の場合だと喉仏の下半分が引っ込むように見えるし,そして多くの歌手の喉も映像ではそうなってるように見えるので,高音を発声する際には「輪状軟骨が後回転」する,という方が説明としてはより正しいと思われます
ただし引っ込み方には注意する必要があり,例えば輪状甲状筋が後回転せずに奥に引っ込んだり,甲状軟骨も一緒に奥に引っ込んだりすると,それはただ単に喉を閉めているだけであり声帯が伸びているわけじゃないです 嚥下とは異なる筋肉を使うという意識があると,わかりやすくこういった喉締めを認知できると思います

そうなる原因

甲状軟骨はいくつもの筋肉と靭帯で頭蓋骨に吊るされていますが,それが思ったよりもかなり硬いせいで,柔らかい気管の靭帯がぶら下がってる程度の輪状軟骨じゃ輪状甲状筋のパワーで簡単に引き上げられちゃうっぽいです

それで気管に影響はないのか

そもそも人間は普段から嚥下する度に,喉頭の全体が喉頭蓋を押し回せる程に激しく上下しているので,ちょっと回転させるくらいどうってことないと思います
問題なのは最初に違和感を感じたりその感覚に慣れないと長続きしない点で,気管の柔軟性を高めるという意味でも練習は必須の技法なのは間違いないです

「甲状軟骨を下げる」理由

イラストにある通り,私は後回転しすぎた輪状軟骨とそれによって折り曲げられた気管が食道のあたりを斜め上に強く押し潰すらしく,かなりの苦痛を感じるというかかなりの吐き気を催すことになります
また声帯への息の流れの当たり方(角度と強度分布)が変わるので,自然な状態での発声から離れてしまい,声質が変わりすぎてしまいます 上のイラストでは分かりづらいですが,イメージとしては声帯が後方向に傾いてしまうような感覚です

もし輪状軟骨にそこまでの可動域がある上で音域をどうしても伸ばしたければ,胸骨甲状筋を使って甲状軟骨の方を下げ,声帯の位置を相対的に元に近づけながら発声をする…といった動作が必要になるぽいです
そんな音域の発声が喉に良いとはあまり思えませんが,吐くよりかはまだマシですし,恐らくミックスボイスはそれが必須条件になると思います…

あと純粋に輪状甲状筋のパワーが足りない人だったり喉頭の形を変えて声色を変えたい人だったりすると,割とそうやって甲状軟骨を下げているように見えます
ただ喉頭を引き上げて声を出したり唐突に生唾を飲んだりといった癖があると筋肉を傷める可能性が高いし,甲状軟骨を喉頭の外から下げるのってかなり難しいし慣れるのにも時間はかかるので,自己責任でゆっくりやってください
そして音高自体は輪状甲状筋に左右されていることを忘れてはいけません,それを鍛えずして声域を広げる方法なんてきっとないでしょう

2.「甲状軟骨を上げない」のは正しいか?

正しいと思います,無闇に喉を締めるのは本当に良くないです
嚥下や演技や声真似では上がる場合もあるかもしれませんが…

喉頭筋群は力を入れない,入れるならまずは胸骨甲状筋だけ,そこから声質を変えるためにあらゆる部位の力の入れ方を微妙に加減する」という流れが,ボイスビルディングとしては適切な表現なんじゃないかなぁと思っています

3.「声帯を伸ばす」のは正しいか?

高い声を出すという点では半分くらい正しいと思います,ただ最後にはどうせ声帯の筋肉そのものの能力に依存するので,そこからは逃げちゃいけません
まぁこういった技法で声帯が伸ばせるようになるまでの間に相応の筋力が声帯にもつくと思いますが,テンションと厚さを意識して声色を把握しながら音域を上げるって意味が分からないくらいに難しいです,私もまだ完璧じゃないです

ぶっちゃけ裏声を出すだけでも声帯を伸ばす感覚はつくんじゃないでしょうか,あとエッジボイスとかでもかなり効果があると思うので日常の癖にしておきましょう

4.「声の素質は生まれつき」は正しいか?

残念ながらかなり正しいと思います

としか言いようがありません,ただ鍛えずにこれは無理だっていうのはちょっと違うのかなぁとも思います…声を鍛えた場合の損って全くないじゃないですか…

何が言いたいか

喉が無闇に締まっているだけなのか,それとも強力に声帯が伸びているのか,まずはこの判別が感覚的につくようになるのが大事だと考えています