空気線図と保湿機構から考える喉の守り方

始めに

日本の冬,特に太平洋側においては,絶対的な気温が下がると共に相対的な湿度も下がるため,簡潔に言うならこの上なく乾燥する季節である.
その時に人体,具体的には鼻腔・口腔・喉頭・気管・肺で何が起きているのか,そして乾燥をどう対策すればいいのか,ということを考えてみる.

知識

(湿り)空気線図

一般的な乾湿計が備えている乾球と湿球の温度を用いて,相対湿度比体積絶対湿度比エンタルピーを求めることができる図(グラフ)である.
空調屋はよく使うみたいな話がよく聞かれる.
なおあくまで標準大気圧( =101.325(\rm{kPa}) ,これはだいたい海面あたりの気圧)に限った図なので,極端に気圧が低かったり高かったりするとどうなるかは,私もよくわからない…

乾湿計

知らない世代や人間もいると思われるため,念のために説明を置いておく…

乾球温度計

要するに気温を測るための一般的な温度計である.

湿球温度計

湿らせたガーゼを巻き付けた温度計である,水が蒸発し熱を奪うため乾球温度計よりも低い温度の値が得られるが,その蒸発の度合いは相対湿度(後述)に依存する.

f:id:Soluna_Eureka:20201128023538j:plain サンキューWikipedia,まぁ他にもいろんな空気線図があるらしいが… ja.wikipedia.org

各パラメータの解説

初めて耳にする用語もあると思われるため,念のために説明を置いておく…

相対湿度

一般によく言われている「湿度」のこと.
完全に乾燥した空気は,温度によって取り込める水蒸気の『質量』の最大値が変化し,それに対してどれくらいの水蒸気を含んでいるかという割合である.
ここで『湿り空気(の質量)』の組成を『乾き空気(の質量)』と『水蒸気(の質量)』に分けて考えると非常に便利なので.以下からはそれを利用して記述していく.
含有水蒸気量 x(\rm{kg}) と最大含有水蒸気量 y(\rm{kg}) に対し,相対湿度は \dfrac{x(\rm{kg})}{y(\rm{kg})} で求められ,その単位は無次元である(割合ではあるため%で表すことが多いが).

比体積

乾き空気 1(\rm{kg}) と水蒸気 x(\rm{kg}) で構成される湿り空気の体積が v(\rm{m}^3) であるとき,その比体積は \dfrac{v(\rm{m}^3)}{1+x(\rm{kg})} と定義され,単位は \dfrac{\rm{m}^3}{\rm{kg}} である.
そして「乾き空気・水蒸気量・湿り空気」考え方の特性として,乾き空気は常に 1(kg) で固定されているため,実際には単位として \dfrac{\rm{m}^3}{\rm{kg(Dry Air, DA)}} と記される.

エンタルピー

\begin{align} a &= b \\ cdvfbfb &= a \\ \end{align}